22 2016

生徒たちに作文を書かせてみたら文章力の差がシビアに表れた件

某団体主催の(伏せる必要は全くありませんが)作文コンクールがあるため、1週間で生徒たちに課題分を読ませ、作文を書いてきてもらいました。一通り全員の作文を読み終えましたが、学力以上に文章力の差をまざまざと見せつけたれたところです。

むしろ、軽くショックです。

キッチリ構成をしてきた小学生

小学生は分量が少ないこともあり、簡潔によくまとまっています。まだ全員分収集が終わっていないので一部の生徒分しか読めていませんが、いずれもそつなくまとまっています。

原稿用紙の使い方も基本通り出来ています。自分のエピソードを添え、意見に説得力を持たせるあたり、読んでいてその子の顔が浮かんでくるようでした。3つのテーマからどれを選ぶのか楽しみでしたが、自分の体験を生かして書けるものを採用していたようです。新幹線のニュースなら、旅行で実際に新幹線を利用したエピソードを軸に、ニュースの感想を書き上げています。その子が新幹線に抱いている「楽しいもの」というイメージがよく伝わってきます。私も直近で新幹線なんて乗ったのは、友人の結婚式帰りに在来線が止まり、やむなく新横浜から小田原というトキメキも何もない区間に乗ったくらいでしょうか。

まずい、夢がない。

お花見のテーマは、「お花見」について好きに書きなさい、という投げっぱなし感あふれる課題です。何を書いてもOKな分、難しいのではないでしょうか。このテーマを選択した子は、お花見に行った体験を元にその楽しさに触れて話を展開し、その後ニュースで報道された迷惑行為に触れ、やや啓蒙的な話を経て、再び楽しく締める、という構成でした。読み手に語りかけるような口調を混ぜたり、読んでいてちょっとほのぼのする良い文章でした。

私も今年のお花見について文章を書くと軽く4000文字は書けます。東京の開花基準木を見に行ったり、隅田川のナイトクルーズで桜とスカイツリーのコラボを堪能したり、小田原の桜所で講師陣とBBQを楽しんだり……おっと、うらやましがられる前に止めておきましょう。

個人差が激しい中学生

中学生の文章を読んでいて真っ先に感じたのは、「これは定期的に作文をさせなくてはならない」という事です。生徒が10人いたとしたら、2人は「内容が気になるレベル」、2人は「読めるレベル」、残りの6人は「読むのが苦痛なレベル」です。

良い文章は冒頭に読ませるための「何か」がある

内容が気になるレベルの作文は、序盤にフックが飛んできます。個人的にとても惹かれたフレーズを紹介します。

みなさんは、自分が生きている事について考えたことがありますか?


冒頭1文目がいきなりコレです。自分の意見について語ると思いきや、まさかの読者(この場合審査員ですが)に問いかけるスタイル。最初だけでなく、彼は徹頭徹尾このテンポで作文を書き上げてきました。最後はまるで「この作文を読んだことであなたの人生に得があったでしょ」と言わんばかりの結論で締めました。凄いよ君。


もう一つ紹介します。


「なるほど」と思ったことは、自分の中にもう一人の自分をおく、ということです。


相方のH先生いわく、「そこに注目するか!」とのこと。中3や高校生ならともかく、中1生がやや哲学的な内容にあえて着眼点を持って行くあたり、地頭の良さと非凡なセンスを感じました。その後の文章構成も、注目した理由を3つ論理的に列挙したり、それを踏まえて自分の経験と比較しての感想を述べたり、読み応えのある意見文となっていました。


上記引用部分の「もう一人の自分をおく」とはいわゆる客観視です。非常に抽象的な概念ですし、中学生が掘り下げたくない類いのテーマです。とても目の付け所がシャープですね(買収されますが)。


作文が苦手な子が気をつけたい3つのポイント

大半を占める「読むのが苦痛なレベル」の文章は、多くの共通点があります。確かに作文は内容勝負です。上で紹介した例は内容にセンスを感じます。しかし、内容以前に読む気を無くす文章を書いてしまうと、せっかくの内容が上手く伝わらず、損をしてしまいます。いくら良い内容だったとしても、入り口でシャットアウトされてしまっては非常にもったいないものがあります。


そこで、ちょっとしたコツを3つ挙げます。というか、即刻改善した方が良い内容なのですが。


1.段落を分ける

起承転結という作文の基本テクニックが示すとおり、文章にはいくつかのまとまりがあるはずです。段落が適切に分かれていると、文章の展開がわかりやすくなります。最初に触れた小学生の作文は、たった400字以内の中に4つの段落がありました。


ところが、何と800文字近くの文章であるにもかかわらず、全く段落が分かれていないものがありました。それも一人ではありません。ウチの中学生全体の20%は1つの段落のみで構成されていました。今ご覧の画面全体の文章がだいたい800字前後ですので、画面全体に文字がビッシリ詰まっている様子をイメージして下さい。


読む気無くしますよね?


2.読点をつける
中学生は文を書いているとどんどん長くなる傾向がありなかなか1つの文が終わらないのですがそれに輪をかけて読点=「、」をつけないので読みにくさが助長されてしまいます。

ほら、上の文読みにくいですよね?

同じ文に読点をつけるとこうなります。

中学生は、文を書いているとどんどん長くなる傾向があり、なかなか1つの文が終わらないのですが、それに輪をかけて読点=「、」をつけないので、読みにくさが助長されてしまいます。

多少読みやすくなったのを感じて頂ければ幸いです。そもそも私なら、上の文は2つに分割します。長い文を書くのは相当な日本語力が必要です。私はそんな力量がありませんので、なるべく短くするように心がけています。

読点を適切な位置につけるのは、読みやすくする目的だけではありません。主述関係を正確に捉えたり、意味を正確に伝えるために必要なのです。

姉は眠そうに勉強している妹へ話しかけた。

これだと、眠そうなのが姉なのか妹なのか分かりません。

姉は、眠そうに勉強している妹へ話しかけた。

この場合は、「眠そうに勉強している妹」に声をかけた事がハッキリと分かります。妹を励ますしっかり者の姉という構図が伝わりますね。

姉は眠そうに、勉強している妹へ話しかけた。

今度は姉が眠そうです。ダメダメな姉と勤勉な妹という、先ほどとは真逆な立ち位置になってしまいます。

文章の意味を正確に伝えるためにも、読点を適切な位置に打つ練習が必要です。

3.文末の表現を変える
私も悩むところですが、何も考えずに文章を書くと、文末に「です」「ます」だけが来てしまいます。正直敬体で文章を書くのは慣れていない上に好きではありません。ひたすらデスマスが続くので、切れ味が鈍る気がします。逆に、どんなに失礼な事を書いてもオブラートに包んだ感が得られるとも言えます。先日話題になった、「保育園落ちた。日本死ね」という強烈なメッセージも、「保育園落ちました。日本死んで下さい」ではパンチが足りず、マスコミに取り上げられる事も無かったでしょう。

今回の作文、殆どの生徒が敬体、いわゆる「ですます」で書いています。常体(言い切り)で書こうが敬体で書こうが、どちらでも構いません。私は中学生になって以降、全て作文は常体でした。私の日本語力が大したことないため、どうしても敬体ではメッセージ性が薄れてしまう気がしたからです。

そんな大人しい文章が大半を占める中際立ったのは、中2のEが書いた文章です。彼は潔く常体で文章を書き切りました。「書き切った」という表現を用いたのは、最初常体から書き始めても、だんだん日和って敬体になってしまう子もいるからです。終始力強く言い切られた文章に、確固たる信念を感じずにはいられませんでした。ちなみに、彼の姉もかつて同じ作文コンクールで入賞を果たしましたが、そのときも女子には珍しい常体の文章でした。一家揃って文章トレーニングでもしているのでしょうか、E家。

前述の通り、敬体でも常体でも文章の内容が全てですので、どちらでも構いません。それ以上に気になったのは、ほとんどの文が「~だと思いました」で終わっている事です。もちろん自分の考えを書こうとすれば、そういった表現になるのは仕方ないところ。ただ、細かいニュアンスを伝えるには「思いました」だけでなく「考えました」「感じました」なども使えるはずです。

目を疑ったのは、原稿用紙2枚分の文章中、全ての文末が「思いました」で終わってるものがあったこと。一方で、上で良い例とした作文では例外なく、「思いました」で終わっている文がほとんどありません。表現がよく練られている証拠です。

少し考察してみると、「思いました」を連発してしまう背景には、自信のなさがあるのではないでしょうか。彼らの使う「思いました」は、あくまで自分の考えはこうなんだというだけで、それを押しつけたり主張するつもりはありませんよ~、というニュアンスが感じられます。

意図的に「思いました」を避けて文章を書いてみると、普通に書くよりも表現に工夫が必要ですし、自信を持って意見表明する必要があります。きっと文章力も向上すると思います

ほら、自信が無さそうに見えるでしょう?

ここまで偉そうなことを書いておいて、不安になったので最初から読み返してみたら、「思います/ました」は1つもありませんでした。いかに私がムダに自信を持って文章を書いているかが分かります。それを自信過剰と言うのです。

番外編.漢字を使う
非常に嘆かわしい作文がありました。開始200文字で使った漢字がたった2種類でした。

小1か。

彼には明日書き直しを命じます。何度言っても改善が見られません。


作文教室を開講します

今回コンクールのために作文をしてもらいましたが、審査後に朝日新聞の元記者の方に添削をして頂いて、お返しします。新聞記者と言えば、文章のプロ中のプロ。私なんか足下にも及ばないスペシャリストです。的確な添削とコメントをもらえますので、文章力向上に必ず役立ちます。

1回だけでも多少の効果はありますが、指摘を元に改善した文章を書き、再び添削を受けることで、着実に文章力は伸びていきます。そこで、毎月1回、課題に基づいて作文を書き、添削を受けることができる「作文教室」を開講します。詳しくはご家庭に案内をお送り致しましたので、そちらをご覧下さい。

このブログのように長い文章(原稿用紙約12枚でした)を書く機会は無いでしょうが、100字~200字程度の文章を書く機会は相当多いでしょう。実験レポートの考察や、自由研究、授業プリントの感想など、文章が内申点に直結します。文章力を育てるには、実践するしかありません。この機会に作文教室を受講して、長期的に文章力を鍛えていくことをお勧めします。

プロに添削を受ける機会なんて普通はありません。
私も自腹で添削を受けたいです。


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