06 2016

小学生のうちにローマ字を身につけておくべき理由

小学校4年生で一瞬ローマ字を習います。そもそも日本語すらアルファベットの大文字すら怪しい小学生にローマ字を教えるのですから、小学校の先生の苦労たるや想像を絶する世界です。

おおよそ1週間程度でローマ字を駆け抜け、違う単元に進みます。

これでローマ字をマスターできる子はレア中のレア、どだい無理な話です。52文字ものアルファベットと母音・子音に対応したアルファベットを結びつけ、暗記をしないといけません。さらに、50音表の扱いに慣れている必要もあります。日本語の発音自体が母音・子音の組み合わせだという認識を持っていないと、ローマ字の仕組み自体が理解できないですからね。

仮にローマ字がスンナリ理解できたとして(恐らく半数未満の子)、いざ身につけようと思うなら当然実際に使わなくてはいけません。私はローマ字を習った直後から、嬉々として使いまくったので難なく覚えられました。名前はもちろん、日常的な手紙やら先生へのメッセージやら至る所にローマ字を使ったので、周囲は大変迷惑をしていたと思います。自分は格好いいと思って使っているのがタチの悪いところです。

今思えばいかにも子どもっぽい行動だったと恥ずかしさで一杯ですが、それをやっていなかったら、と思うとゾッとします。あの段階でローマ字をマスターしていたからこそ、アルファベットもほぼ全て覚えましたし、全く小学校時代に英語に触れたことがなかったとしても、中学校のスタートが順調に切れたのです。

英語の学習にローマ字は必要?不要?


これは意見が分かれるところですが、私は必要だと考えています。これには理由が2つあります。

1.アルファベットを覚える絶好の機会だから

英語を学習していない小学生にとって、アルファベットに触れる機会はとても少ない。確かに小学校で英語教育が始まっているものの、そのほとんどがコミュニケーションに費やされているのが現状です。

今後数年以内に小学校でもアルファベットを練習し、全員が書けるようになることを目標にカリキュラムも変わっていくでしょう。コミュニケーションも重要ですが、話せる「だけ」では十分ではありません。「話す」「聞く」「読む」「書く」の4つの要素の土台となり、最も簡単なのが「書く」だからです。(上記4つの能力は難しい順に並べました)

せっかくローマ字を習い、日本語を異なる文字で表現するチャンスを得たワケです。好奇心が勝るうちに集中的にローマ字を使って日本語をアルファベット表記する楽しさと共に、アルファベットそのものも身につけておきたいところです。

「アルファベットは中学校で勉強するでしょ?」という意見もあると思いますが、中学校スタート時の負担が違います。よく小学生の保護者の方との面談で「英語を習わせた方が良いでしょうか……?」と聞かれますが、必ず「習わせた方が良いのは確かですが、少なくともアルファベットは書けるようにした方が良いと思います」と答えます。幼稚園・保育園児時代にひらがなをマスターした上で小学校入学をすると、かなり児童への負担は低くなります。それだけ知らない文字に触れるのはエネルギーの要ることなのです。

2.発音の手がかりがあるから

もちろん英語とローマ字の発音は違います。ですが、ある程度ローマ字に近い発音であることが多いわけですから、未知の単語でもそこそこ読み方の見当を付けることが可能です。

例えば、「name」という単語。無理矢理カタカナで書くと「ネィム」でしょうか。

ローマ通りに読むと「なめ」となるため、そのまま読むわけにはいきません。ですが、少なくともナ行とマ行だろう、という推測が出来るので、ネィムという読み方を知ったとき、インプットがしやすくなるのは確かです。中には、「なまえ」→「なめー」→「name」のようなゴロで覚える人もいるでしょう。これはローマ字の知識を持っている事が前提です。

ところが、ローマ字の知識が無い子はどうするのか。ローマ字の知識が身について久しい大人にはなかなか想像するのが難しいと思いますが……

まず「name」という単語を初めて見たとき、全く何という読み方をすればよいか見当がつきません。ナ行とかマ行とか、それすら全く分からないのです。恐ろしいことに、彼らの頭の中は真っ白です。そして、「ネィム」と言われても、なぜそう読むのかヒントが0の状態ですので、name=ネィムなんだ、と覚えるしかありません。

だから、いざ「名前」を英語で書こうとするとき、頭の中で名前→ネィムという変換がされても、次の段階で「n」「a」「m」「e」と書く、と考えなければなりません。このとき彼らの頭の中では「ネィム」ではなく、「エヌエーエムイー」と唱えられているでしょう。

無茶でしょ!

ローマ字が分からない子にとって、単語1つが相当な重荷になります。こんなのが連発するわけですから、そりゃ英語嫌いにもなるってもんです。過去に指導した英語が壊滅的にできない生徒は、もれなくローマ字から分かっていませんでした。

ローマ字不要論もあったりします


実は、英語の先生の中には「ローマ字なんか知らない方が良い」という方もいらっしゃいます。なまじローマ字の読み方に引っ張られてしまうため、英語本来の発音が身につきにくいという論です。

先ほどの「読み方の見当」も付かない、という症状に対しては、フォニックスという特効薬があります。これは、アルファベットの読み方のパターンをそっくり覚えてしまう方法です。このルールに従えば、確かに「name」は確実に読むことが出来ます。

ウチの塾でも保険としてフォニックスの指導を春休みから行っています。定着に時間はかかるものの、確かにローマ字と読み方が違う、という事実が「なんとなく」ではなく「ルール通りに」理解する事ができます。

それでも私はローマ字をマスターする方が楽だと考えています。なぜなら、ローマ字はあくまで馴染み深い日本語をベースにした考え方だからです。中1(ほぼ小6)の子にはローマ字の方が速く理解できるでしょう。ローマ字の発音ルールを知っている上に、フォニックスによって正しい英語の発音ルールを適用した方がスムーズに入り込めるハズです。

ローマ字をすんなり身につける方法


これは使うしかありません。小学校4年生で学習してすぐが最大のチャンス。「アルファベットで書けるってカッコイイ」というイメージを植えつけてやれば、こぞってローマ字を使おうという子は沢山います。そう、かつての私のように。

ちょっと使えるようになると、得意になって更に使いまくります。こうなれば忘れる方が難しいレベルで身につくでしょう。

もう1つの方法は、パソコンの文字入力をさせることです。スマホのフリック入力はマスターが容易ですが、なかなかPCのキーボード入力は習得しにくい。折角ですから、あらゆるものをすんなり身につけられる小学生時代にキーボードのローマ字入力をやらせてみると良いでしょう。たいていはあっけなく身につくと考えられます。

将来的にパソコン入力が役に立つかどうかは微妙です。ただ、今後数年の間はキーボードで素早く文字が入力できることは大いに使える武器であり続けるでしょう。中学生の技術でも勉強しますし、入力のスピードを競うテストもあります。ついでにプログラミングに興味を覚えたらしめたもの、数学にめっぽう強くなることうけあいです。

私は中学生のときパソコンやワープロやタイプライターで文字入力を身につけました。小学生のときそんな機械を操作する機会があったら迷わずやっていたでしょう(そういうのが好きでした)。せっかく自宅にPCがあるなら、好きなアニメの主題歌のCDをレンタルしてきて歌詞をパソコンで打ったりさせてみてはどうでしょうか。私も中学時代にやりました(洋楽だったのでローマ字ではないですが)。

まとめ


まだ小学生のお子さんがいらっしゃる保護者の方は、ぜひローマ字の習得をさせてみて下さい。あくまで「ローマ字が書ける=カッコイイ」というスタンスをオススメします。ローマ字を習得してきた人たちの多くは、勉強のため、という意識でやっていたワケではないと勝手に想像しています。使って楽しいからこそ身につけようという意欲が起こる、という事です。

中学生で単語が致命的に覚えられない、という子は、もしかしたらローマ字感覚が全く無いことが原因かもしれません。もしくは単に暗記の努力を全くしていないかのどちらかでしょう。

パソコンを覚えるついでにローマ字を身につけてみてはどうでしょう。2つのスキルを同時に身につける。まさに一石二鳥ではないでしょうか。

いずれにしても、英語のためと堅苦しく考えず、先々便利になるものだから、という発想が大事なのかもしれません。

でもよく考えたら、この文章を打っているこの瞬間、全くローマ字を意識して打っているワケではないんですよね。頭の中に浮かんでいるのは日本語で、手は勝手にそれに合わせて動いているだけ。キーボードを打つためにローマ字を考えるのは、ほんの最初だけなのでしょうね(身も蓋も無い)。

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