16 2017

神奈川県公立高校学力検査-理科の分析

学力検査が終わったあとの生徒が続々集まり、つい先ほどまで明日の面接試験の練習を順番にしていました。
本日は自己採点禁止、と言ってありましたので、皆お互い不自然なほど学力検査の話はしていません。
今そんな話をしていても、全くメリットはありません。
まずは前を向き、残り200点分の面接試験を取りに行く事に全力を注ぐべきだからです。

今日練習しに来た生徒にはできる限りの事を伝え、送り出しました。
既に結構遅い時間なので、今から書いたら何時になるんでしょう。

と、昨日書いていたのですが、ちょっと午前様になってしまったので、日を改めて書き加えました。
他の塾の分析を見てみたのですが、意外に短かったので、どれだけ私は時間がかかっているんだと自己反省。

では冷静に、学力検査を振り返ってみましょう。
私の専門である、理科を分析してみます。
ここ3年、受検生に猛威を振るい続けてきた例の科目です。

まずは総評

だいぶ易化。

事前の想定として、ある程度簡単になることは十分に予想されていました。
それはマークシート方式への変更がなされるからです。

マークシート方式は、ただ選択問題になるから簡単になるわけではありません。
記述方式では空欄になる問題でも、何らか答えを書けてしまうため、結果的に得点が上がってしまうからです。
4~6択問題なら、確率的に20%前後の期待値があります。
中堅~下位層の場合、本来なら空欄=0点だった問題が多々あった訳ですから、この影響は顕著です。

一方、上位層では自力で解答を導き出す事が多いはずです。
求めた解答が選択肢に無い場合、明らかに誤答だと判断できてしまうため、解き直して正答にたどり着く可能性がグンと高まります。

いずれにしても、マークシートになっただけで平均点はある程度上がるであろうと予想されていました。

蓋を開けてみれば、基礎知識のみで解ける問題が増えました。
もちろんある程度の難易度の問題もありますが、昨年までのような高い壁ではありません。

個人的にここ数年の神奈川県の問題は好きです。
知識をベースにして考察したり、計算したり、理科の本質に迫るような良問の数々は、こと上位層の能力をあらわにするためには最適でした。
全国の入試問題を解いても、神奈川の問題は平均点などの客観的データはもちろんのこと、解いている最中に頭を如何に使っているかの度合いが群を抜いて高いのが分かります。

……難しすぎて中堅以下の高校で差がつかなくなってしまったのは確かです。
恐らくその反省を元に、難易度を下げたのでしょう。

が。

ちょっと下げすぎかな?と思いますが、受検生としてはありがたいのでしょう。

では、大問ごとのインプレッションです。

問1 [物理分野小問]


ア・ウの問題は定期テストのレベルと考えて差し支え無いでしょう。

受検生が苦手なのはイの問題です。
作用・反作用とつりあいの区別がハッキリつけられる(説明できる)かどうかがポイントです。
マスターしている受検生は少ないと思われます。

とはいえ、正解以外の選択肢にほとんど紛らわしいものが無いので、消去法で解けてしまうのでは。

問2 [化学分野小問]


久々にアのような難易度の問題を見ました。
気体の性質を丁寧に暗記さえしていれば大丈夫です。
中1生でも解けてしまうでしょう(もしかすると中1生の方ができるかも)。
ちなみにウチの高3生(文系)が間違えて水素を選びました(笑)。
確かに「燃やす」と「燃える」の区別がついていない中堅層で引っかかるかもしれませんね。

イは消去法というより答えを一点張りできてしまう問題。
状態変化の際の質量・体積の変化は受検生なら嫌と言うほど解いているでしょう。

ウもよく定期テストで見かける実験です。
さすがに全員正解しておきたいところですね。

問3 [生物分野小問]


アの問題は、一見ランの花という見慣れない(高級ですしね)題材に受検生が戸惑うでしょう。
各部の説明は丁寧にされているので、1つずつ冷静に読んでいけば正解にたどり着くはず。
「アブラナの花の最も大きい面積を占める部位と同じ部位=花弁」がポイントですね。

イはBのみ生殖細胞であることが分かればOK。
もちろん生殖細胞の染色体が体細胞の半分であるという知識は大前提です。

ウは定期テストのレベル?と思いきや、意外と迷うと思います。
中2で学習する際、反射は「感覚器官→脊髄→運動器官」という経路とたどると習います。
脊髄がその後大脳へ刺激を送るからこそ、「あー熱かった」という感覚が生まれますが、ここまで細かく記憶していないのではないでしょうか。
ただし、「熱いと意識するのは手の皮膚」では無い事から1~3の選択肢が消去できるので、落ち着けば正解にたどり着けます。

問4 [地学小問]


アとイは天体からの出題でした。
アは公転周期が地球より長い=外惑星と気づけば簡単です。

イは月の形と南中の時刻の組み合わせを暗記していれば簡単です。
一方、金星や月は形を見れば見える時刻を判断する方法があるため、そちらをマスターしていれば万全でした。
正しい組み合わせは2つあるので、冒頭の「満月の日から一週間後」というリード文を読み落とすと大混乱します。

ウのような実験から分かること=考察する問題や、予想を確かめる実験方法を考える問題は近年頻出の傾向です。
案の定今年も出題されました。
問7でも出題されていますね。
このような問題は今後も出題が続くと思われます(全国でよく出題されているので)。
来年以降の受検生は忘れずに対策をしておきましょう。

問5 [物理-運動とエネルギー]


今年の入試の中で、やはりいつも通り受検生に立ちはだかる壁。
それが物理分野です。
運動の分野で重要なのは、その運動を想像できるかどうかです。
斜面に置いた台車を糸で引いて、途中で離したときどのような運動をするのか、頭にイメージできればこの問題は半分以上解けたも同然です。

糸で引く代わりに自転車をこいだと想像してみれば、すぐに分かると思います。
坂道の途中まで頑張って自転車をこいでいき、途中でこぐのを止めました。
当然いきなり止まるわけはなく、最初は勢いで上っていきますが、だんだん遅くなり、最終的には止まります(もちろん止まった後は後ろに下がっていくという恐怖)。

実験2との比較になるエの問題は理屈を考える必要がありますが、ア~ウの問題はイメージさえ整えば確実に取れるはずです。
ちなみに、イはウチで一番理科が苦手な生徒でも自信を持って解けたそうですので、間違える訳にはいきません。

エは昨年レベルの思考力が必要です。同じだけ糸を引いたとき、斜面の傾きが小さいと上る高さは低くなることを図形的に判断します。
高さが低い=位置エネルギーが小さい=運動エネルギーは大きいと芋づる式に結論が出るでしょう。

問題文中に実験1と2では力学的エネルギーが等しいと書いてあるところに少し優しさを感じます。
このあたりのヒントが多いのも、今年の入試の特徴です。
ただし、問題文を読み込む習慣が無い場合、ヒントの意味がありません。

問6 [化学-還元と質量比]


酸化銅と炭素の粉末を用いた還元の実験を題材にした問題は、学習塾でよく採用される入試問題集に必ず載っています。
したがって、入試対策授業の復習と定着ができていれば、解答しやすい問題でしょう。
アはもちろん、イも質量保存の法則を利用した解法を経験している受検生がほとんどでしょうから、確実に得点しておきたい問題です。

昨年まで受検生を地獄にたたき落としていた考察問題は陰を潜め、ウは多少解きやすい計算問題になりました。
質量が1.25倍に増えたとき、炭素粉末の必要量も増えます。
本来なら細かい計算をしておくところですが、実際のところ炭素の粉末が0.20gと0.60gという明らかに足りない/多すぎる設定になっているため、中堅層以上の受検生なら簡単に正答を出せるでしょう。
基礎が身についていない場合は一見難しそうに見えるため、あきらめてしまうかもしれません。

エは水素のXに1を選んでしまうと一巻の終わりです。
反対に、Xに3を選べばあとは余裕です。

問7 [生物-生物のつながり]


図が無いことで難易度を上げている印象ですね。
リード文が会話形式なので、一見読みやすく感じます。
読んだ情報を細かくメモや絵をかいてまとめていくと分かりやすくなります。
繰り返しになりますが、理科は書き込みが重要な科目です。

アは一体何を言っているのか伝わらない可能性がありますが、フタを開ければ何てことありません。
でも、やや問題文の意味が伝わりにくいように感じます。
私の読解力が足りないだけでしょうか。

イは対照実験の目的を説明する問題です。
対照実験については受験勉強を通じて触れる機会が多いため、記述問題としては正解率は高めと予想されます。
記述問題の割には、という話ですから、実際に得点できるのは2割くらいでしょう。

ウやエのような考察は初見の生徒が多いでしょう。
受検生の思考力をはかる良問です。
特別な知識も必要ありません。
闇雲に難易度は高くありませんので、日頃から考える習慣がついているなら解けるでしょう。
だからこそ、解けない受検生が多いのですが。

問8 [地学-地震・地層]


全体的に受験勉強中1度は触れているはずの問題です。
特に、震源の深さを無視できるあたり、難易度を下げてきています。

例年受検生を泣かせるウのような計算問題ですが、ある程度類題をマスターしていれば戦えたはずです。
ただし、P波だったり主要動だったり、2つの波・揺れに話が飛ぶので、求めた数字の書き込みや整理が欠かせません。
問題用紙はメモをするためにある、というのがよく分かる問題です。

エも解法自体はカギ層に注目する典型的な問題です。
頻出な地層の傾きではなく、断層による地層の高さのずれというのが目新しい部分ですね。
さて、同じ解き方であることが見抜けていたでしょうか。

まとめ


ここ数年の高難易度問題で私の頭が麻痺しているのか、どうも必要以上に簡単に見えてしまいます。
一晩たって俯瞰してみると、後半を中心に昨年同様思考力を問う問題が多い印象です。

平均点ですが、昨年比10点程度は上昇すると考えています。
でもどうでしょう、受検生が難問に慣れてきていることは確かです。
なら、私の予想以上に出来が良いかもしれませんね。

ただし、基礎知識が不足している状態では相変わらず手も足も出ません。
来年受験をする中学2年生は、春~秋にかけて徹底した知識強化を行い、秋から思考の練習を積むのが良いでしょう。

英語・国語も易化したようですし、若干のボーダー上昇は避けられそうにありません。
さて、本日は夕方から自己採点です。
一部の高校を除いて面接も終わり、自分の成果を確認するときですね。
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